昴(すばる)
作詞・作曲・唄:谷村新司
<1> 目を閉じて 何も見えず 哀しくて 目を開ければ 荒野(こうや)に 向かう道より ほかに 見えるものはなし 嗚呼(ああ)砕け散る 運命(さだめ)の星たちよ せめて密(ひそ)やかに この身を照らせよ 我は行く 蒼白き頬のままで 我は行く さらば昴よ |
||||
<2> 呼吸(いき)をすれば 胸の中 凩(こがらし)は 吠(な)き続ける されど 我が胸は熱く 夢を 追い続けるなり 嗚呼 さんざめく 名も無き星たちよ せめて鮮やかに その身を終われよ 我も行く 心の命ずるままに 我も行く さらば昴よ |
||||
Mmmm……(ハミング) 嗚呼 いつの日か 誰かがこの道を 嗚呼 いつの日か 誰かがこの道を 我は行く 蒼白き頬のままで 我は行く さらば昴よ 我は行く さらば昴よ |
| |
Return |
『昴』は、歌詞の雄大なイメージと歌いやすいメロディのため、国内のみならず、東アジア各国の
人びとにも愛唱されました。 「蒼白い頬」と「息をすれば吠き続ける胸の“凩”」というと、
この青年は、もしかしたら肺結核にかかっているのかもしれません。だとすると、微熱に悩まされ
ながらも、何か遙かなるものへの憧憬に衝き動かされて荒野をさまよう青年、といったイメージが
浮かんできます。そういえば、五木寛之の小説『青年は荒野をめざす』がベストセラーになったのは、
1960年代末のことでした。
なお、昴はプレヤデス星団の和名です(上の写真)。プレヤデス星団は、おうし座にある数百個の
星々が集まった散開星団で、6個の明るい星は>肉眼でも見ることができます。清少納言の『枕草子』に
「星はすばる……」と書かれていることは、よく知られています。江戸時代の国文学者、狩谷鍵斎・
平直方などの研究によって、すばる」は「統(す) べる」が転訛したもので、6つの星が糸で統べた
ように集まった状態を表したもの、とするのが定説になっています。「統べる」には「統治する、
統率する」という意味もあることから、よく「王者の星」と呼ばれます。