無縁坂

 作詞・作曲:さだまさし     唄:グレープ

-1-   母がまだ若い頃 僕の手をひいて
 この坂を登るたび いつもため息をついた
  ため息つけば それで済む
   後ろだけは見ちゃだめと
    笑ってた白い手は とてもやわらかだった
運がいいとか 悪いとか
人はときどき 口にするけど
 そういうことって たしかにあると
  あなたを見てて そう思う
忍ぶ 不忍(しのばず) 無縁坂
 かみしめるような
  ささやかな 僕の母の人生
-2-   いつかしら僕よりも 母は小さくなった
 知らぬまに白い手は とても小さくなった
  母はすべてを 暦にきざんで
   流して来たんだろう
    悲しさや苦しさは きっとあったはずなのに
運がいいとか 悪いとか
人はときどき 口にするけど
 めぐる暦は 季節の中で
  ただよいながら 過ぎてゆく
忍ぶ 不忍(しのばず) 無縁坂
 かみしめるような
  ささやかな 僕の母の人生

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[蛇足〕坂は常にドラマチックです。坂を歩くときは、非日常的なことが何か起こりそうな気がしませんか。  無縁坂は東京台東区池之端にある坂。坂の上に無縁寺があったため、この名がついたといわれます。森鴎外の小説『雁』の主人公がヒロイ ンお玉に出会った場所として有名です。この歌はグレープ時代のさだまさしが昭和50年(1975)に作り、TVドラマ『ひまわりの詩』の主題歌として 使われました。グレープはさだまさしと吉田正美のデュオでしたが、さだが病気になったため、昭和51年(1976)に解散しました。この歌を聞く と、自分の母親を思い出すという人が多いようです。